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【沖縄】やちむん・琉球王国から続く焼物の魅力

沖縄のうつわ「やちむん」。日々の生活になじむ素朴で懐かしい味わいの作品が多く、職人さんたちの手仕事を感じさせてくれます。作家さんによって個性あふれる品も多く、伝統的な技法をいかした新しいデザインが続々と登場。今回は人気の高い「やちむん」について、歴史やその伝統を振り返ってみましょう。

 

やちむんとは?

 

「やちむん」とは、沖縄の言葉で「焼き物」のこと。沖縄で作られた陶器はほぼ「やちむん」と称されることが一般的です。

 

現在では、箸置きやマグカップ、小皿など日常使いしやすいものから、高価な工芸品・アートまで色々な種類の焼き物があります。沖縄土産として定番の「シーサー」も、やちむんで作られたものが多いですよ。

 

最近では、今までにない釉薬を使ったり、琉球ガラスや貝殻をまぜたりして独自の風合いを出すやちむんを作る新しい陶房も増えてきました。

「やちむん」と一口でくくるのが難しく思えるほど、バリエーションに富んでいるものその魅力といえます。

 

やちむんの歴史

 

「やちむん」ですが、その歴史は600年にもわたる伝統工芸です。

沖縄が「琉球」と呼ばれていたころ、14~16世紀頃に中国や南方諸国の陶磁器とともに焼き物の技術がもたらされました。その後、中国の情勢の悪化。琉球の国内で陶磁器の生産を行うようになったことが「やちむん」の始まりと言われています。

 

17世紀後半、1682年には当時の尚貞王(しょう・てい おう)が産業振興のために、各地に分散していた3つの窯場「湧田・宝口・知花」を、王城のある首里に近い「壺屋(つぼや)」に統合しました。

 

それ以降、ここで作られるやちむんは「壺屋焼」と呼ばれるようになります。沖縄観光の有名スポットである「壺屋やちむん通り」のある場所です。

 

しかし、1970年代に入ると、住宅が密集する壺屋でやちむんを焼くことが難しくなってきました。煙が環境問題となり、薪をたく登り窯の使用が禁止されてしまいます。

 

そこで、陶工たちを招致したのが、現在「やちむんの里」で知られる読谷村です。後に人間国宝ともなる故・金城次郎氏をはじめとした陶芸家たちは、読谷村に移って共同で登り窯を築きました。これが「やちむんの里」の始まりです。

 

現在では、やちむんは年内各地にある多くの窯で焼かれ、沖縄県内だけでなく、全国各地で修行した個性豊かな陶工の作品も数多く見られるようになりました。

 

また、やちむんが作られるのは沖縄本島だけではありません。石垣島や宮古島などの離島でも、質の高い焼き物を作る陶房が、続々と登場しています。

 

やちむんの特徴

 

やちむんは、ぽてっとした風合いと、温かみのある作風が特徴といわれています。代表的な柄と、やちむんが作られる土やその種類などについてみてみましょう。

 

やちむんの伝統的なモチーフ

 

代表的な絵柄のひとつである「魚紋」は富と幸福を表わし、魚がたくさんの卵を産むことから「子孫繁栄」の意味が込められています。やちむんを代表する絵柄で、「線彫り」と呼ばれる技法です。金城さん以外にも多くの窯元が制作しています。

・唐草模様

永遠と長寿、子孫繁栄を表わすとされる柄です。コバルトブルーの唐草模様のほかにも、飴色や緑色などで描かれます。単色で描かれたものは「唐草」、飴色が入ったものを「菊唐草」といいます。

・菊紋

太陽のように、器いっぱいに大きく書かれた花びらが特徴的な菊紋。病を治し、長寿を意味する柄と言われています。

・点打ち

水玉模様のようにも見える点打ち。その点は必ずしも均等ではなく、さまざまな大きさや配置で描かれます。飴色の点をコバルトブルーの点で囲み、花柄のようにした図案も人気です。

・赤絵

一度絵付けをして焼いてから、さらに赤で装飾を施すという手間のかかる技術です。色鮮やかな赤の染料を使い、沖縄県の花である「でいご」やブーゲンビリアなど華やかな図柄が施されます。

 

・いっちん

印花(イングァー)とも呼ばれる模様です。茶色の器に、スポイトのような道具で釉薬を絞り出すことで描かれます。盛り上がった絵柄の唐草模様が特徴です。

やちむんが作られる「土」

 

やちむんの特徴である風合いを生み出すのは、原料の「土」です。焼き物は、土をこね、形を作って焼き上げるという行程を経てできあがります。沖縄の土壌は「琉球石灰岩」と呼ばれるサンゴ礁の堆積からなっており、石灰成分と鉄分を多く含む「赤土」です。日本列島の土とは大きく異なります。

窯の種類によってもできあがりが異なる

 

なお、前項で出てきた「登り窯」と「ガス窯」についてですが、どちらで焼いても「やちむん」です。ただ、登り窯は薪で燃やした火が直接当たります。火の当たり具合は調節できません。その結果、予想外の色やムラが出たり、火の温度が高くて焼き物の形が変わってきてしまったりなど、出来映えは安定しないのですが、それが「味」となります。

ガス窯は、温度や火の当たり具合が安定していますので、焼き上がりが均一です。

・やちむんはどこで買える?

 

最近ではセレクトショップにも並ぶようになった「やちむん」。

実物をたくさん見て選びたい!という方におすすめなのは、やはり本場で選ぶこと。沖縄のおすすめスポットは以下の通りです。

 

壺屋やちむん通り

 

国際通りから歩いて行ける立地で、沖縄の代表的な陶器である壺屋焼の窯元やお店が並ぶ一画。壺屋焼の窯元ややちむんを使ったカフェなどもあります。

毎年11月には「壺屋陶器まつり」が開催され、多くの人が訪れます。

 

・壺屋陶器事業組合

https://tuboya.com/ 

やちむんの里

 

那覇から車で約1時間ほど、読谷村の奥まった場所にあるのが「やちむんの里」です。

独立して営業する19の工房が建ち並ぶ場所。各工房ごとに特色があるため見て回るのも楽しい場所です。(工房によっては見学不可の場所もあります)
工房やギャラリーでやちむんが買えますし、工房を開放していないところでは、共同売店で販売しています。


陶房・ギャラリー

 

お目当ての作家さんがいる場合は、直接その陶房やギャラリーを訪ねてみるのもおすすめです。

ただし、工房によっては、一般の方に開放していない場合もあります。事前にちゃんと調べてから行きましょう。

 

オンラインショップ

 

沖縄県外でも「やちむん」を買うことは可能です。最近ではオンラインショップでも、やちむんを多く扱うところが増えてきました。

Tracieでは、伝統的な「やちむん」から、個性豊かな作陶が特徴的なもの、沖縄本島や離島の工房まで、さまざまな「やちむん」を取り扱っています。


約300年の歴史を誇る壺屋の窯元「育陶園」

▼育陶園の器はこちらで確認できます

https://toracie.net/products/list?category_id=86  


温かみのある作陶が定評。やちむんの里の「ノモ陶器製作所」

温かみのある作陶が定評。やちむんの里の「ノモ陶器製作所」


▼ノモ陶器製作所の器はこちらで確認できます

https://toracie.net/products/list?category_id=51 


沖縄の海をテーマにした青い器に琉球ガラスを取り入れた技法が注目の「うるま陶器」


▼うるま陶器の器はこちらで確認できます

https://toracie.net/products/list?category_id=88


インパクトのある絵柄で多彩な表情をもつ器を作る、壺屋の「工房くばやー」

インパクトのある絵柄で多彩な表情をもつ器を作る、壺屋の「工房くばやー」


▼工房くばやーの器はこちらで確認できます

https://toracie.net/products/list?category_id=73


石垣島の海を表現した独自の釉薬で仕上げる淡いブルーが特徴「やまばれ陶房」

石垣島の海を表現した独自の釉薬で仕上げる淡いブルーが特徴「やまばれ陶房」

▼やまばれ陶房の器はこちらで確認できます

https://toracie.net/products/list?category_id=53


石垣島の貝殻を用いたガラスのような不思議なやちむん「アンパル陶房」


▼アンパル陶房の器はこちらで確認できます

https://toracie.net/products/list?category_id=49



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